超速報!令和2年度税制改正速報

本日12月12日に与党より公表された令和2年度税制改正大綱に基づき、情報提供を目的として概要を抜粋して記載しております。
よって、今後国会に提出される法案等を確認する必要があり、本内容とは異なる内容が制定される可能性がありますのでご留意ください。

法人税編

1.グループ通算制度
現状の連結納税制度を見直し、グループ通算制度へ移行します。
使い勝手の悪かった以下の項目が変更されます。
・所得金額及び法人税額計算の方法を変更し、グループ内の会社で所得の金額又は欠損金額が当初申告額と違っていた場合は、グループ内他社の申告に影響が出ないようにします。
・グループ通算制度開始又は加入の際の、「時価評価」の対象、「欠損金の引継ぎ」について、組織再編成との整合を取る形で、親法人との間に完全支配関係の継続が見込まれる子法人は①時価評価不要、②引継ぎ制限はあるものの欠損金の引継ぎはできる、等に変更されます。

なお、引き続き地方税はグループ通算制度の対象外です。

私見ですが、中小企業においても今後、グループ通算制度を使う意義は大きいと思いますので、令和4年4月以降に開始する事業年度からの適用ですが、積極的に活用していきたいと思います。

2.その他の改正
①一定の新事業開拓事業者の株式を取得した場合はその取得価額の25%の所得控除ができます。
②企業版ふるさと納税の税額控除の限度額が30%から60%に拡大されます。
③少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象法人の要件を従業員の数500人以下に引き下げます。

所得税編

年末調整で慌ただしい日々ですが、本日、税制改正大綱が発表されました。所得税の目玉はこの2つ!

1.ひとり親の場合の所得控除
①【見直し】寡婦(寡夫)控除
男女平等の税制へ変わっていきます。
控除額が35万円に引き上げられました(子がいる場合のみ)。
また、現行の寡婦(寡夫)の要件に次の要件が追加されます
・対象者の所得が500万円以下であること
事実婚をしていないこと(住民票に未届けの妻または夫がいないこと)

②【新設】未婚のひとり親に対する所得控除
未婚のひとり親は寡婦(寡夫)控除の対象となりませんでしたが、ようやく今回この制度が新設されました。内容は寡婦(寡夫)控除とほぼ同じ!
控除額は35万円です。
要件は以下の通り。
・生計一の子(所得48万円以下)を有すること
・対象者の所得が500万円以下であること
・事実婚をしていないこと

2.長期譲渡所得の特別控除(低未利用土地等)
取引コストは高いのに、土地の値段は低い…。そんな売りにくい土地の取引を活発化させようと特別控除が新設されました。
譲渡益から100万円控除が受けられます。
要件は以下の通り。
・その年1月1日において所有期間が5年を超えること
・土地と建物の譲渡対価が500万円以下であること
・低未利用土地等であると市区町村の確認を受けたこと
なお、一度適用を受けると、翌年・翌々年は適用が受けられません。

消費税編

居住用賃貸建物の消費税還付スキームにメス

【住宅の貸付の用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって高額特定資産に該当するもの(以下「居住用賃貸建物」という。)の課税仕入れについては、
仕入税額控除制度の適用を認めないこととする。ただし、居住用賃貸建物のうち、住宅の貸付の用に供しないことが明らかな部分については、
引き続き仕入れ税額控除の対象とする。】
令和2年度税制改正大綱(自由民主党・公明党)より抜粋

『自販機スキーム』と呼ばれる方法の封じ込めに始まり、様々な税改正後、残った『金取引スキーム』の問題がありました。
今回はこの『金地金スキーム』が封じ込められるという話がありましたが、【居住用賃貸建物に仕入税額控除を認めない】という改正になりました。

しかしながら、昨今のホテル建築ラッシュの中、将来のことを考え賃貸用に転用できるような設計の建物もみかけます。
こういった建物は【住宅の貸付のように供しないことが明らか】と判定してよいのか、条文・通達の解説が待たれるところです。

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