令和7年度 税制改正大綱

巷間言われていた103万円の壁以外は、小粒な改正です。

【法人税】

1)中小企業経営強化税制に、基準事業年度の売上高が10億円超90億円の方向けの制度が追加されます。

・新制度は建物が入るのが魅力的ですが、特別償却限度額が取得価額の最大25%と中途半端感は否めません。

2)昨年の大綱に出ていた「法人税率の引き上げ」については、具体的な措置はありませんが、「法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施・・」と昨年に引き続き伏線が張られています。

3)防衛特別法人税の創設

 ・年500万円超の法人税に対し、4%の防衛特別法人税(仮称)がかかります。(令和8年4月1日以降に開始する事業年度から)

【所得税】

1)年収の壁が103万円→123万円に変更になります(令和7年分から適用)

①基礎控除・給与所得控除がそれぞれ10万円ずつ増加します。

基礎控除   48万円→58万円

給与所得控除 55万円→65万円

これにより所得税は収入に応じて1万円~4万円程度低くなります。

➁上記の改正に伴って配偶者や扶養親族の要件も所得金額58万円以下に緩和されるため年収(額面金額)123万円までは扶養に入ります。

また19歳以上23歳未満の親族で年収150万円までは現行と同様63万円控除(特定扶養控除)でき、150万円超の場合でも段階的に控除が出来ます。

2)生命保険料控除の見直し

23歳未満の扶養親族を有する場合は一般生命保険料控除の適用限度額が4万円→6万円に増加しました。

※ただし、生命保険料控除全体の控除額は現行と同じ12万円です。

【資産税】

1)納税猶予制度の要件緩和

 非上場株式等の場合の役員就任要件が、贈与等の直前において特例認定贈与承継会社の役員等である、となります。

2)相続税の物納許可限度額の計算方法の改定

物納許可限度額等について、計算の基礎となる延納年数を納期限等における申請者の平均余命の年数を上限とするとなります。老老相続の場合には、延納ではなく、物納を検討する選択肢が増えることが期待されます。

3)結婚・子育て支援の贈与税制、2年延長

結婚・子育ての資金を一括で(専用口座で)贈与すると贈与税が1千万円まで非課税となる特例です。正直利用者がいらっしゃらないので、延長されましたが、利用されるとは思いません。