令和8年度税制改正大綱

【法人税】

下記は資本金1億円以下の中小企業者等に対する改正内容です。

  1. 特定生産性向上設備等投資促進税制(新設) 

国内における大規模な設備投資を促進する観点から、5億円以上の生産等設備投資については、即時償却または取得価額の7%(建物、建物附属設備及び構築物については4%)の税額控除との選択適用が可能となります。

投資額が5億円以上と高額である一方で、全業種が対象となる点や建物の取得にも適用される点などが特徴です。

対象資産機械装置(160万円以上) 

工具器具備品(120万円以上)

建物(1,000万円以上)

建物附属設備(120万円以上)

構築物(120万円以上)

ソフトウェア(70万円以上

2.賃上げ促進税制(縮小)

教育訓練費に係る上乗せ措置(給与増加額の10%)が廃止されます。その結果、税額控除限度額が最大で45%→35%に減額になります。

3.少額減価償却資産の特例(拡充)

現状は「30万円未満」の資産は全額経費に出来ますが、この金額が「40万円未満」に上がります。

※年間300万円までの上限に変更はありません。

【所得税】

  1. 基礎控除等の増額

令和7年と比較して以下が変更になります。

①合計所得金額2350万円以下の個人の基礎控除4万円増額(減税)。

令和7年改正と同様に住民税には変更がありません。

令和8,9年はさらに増額があり年収200~475万円の方は合計16万円(令和6年比+56万円)、同475~665万円の方は合計36万円(同+56万円)増額になります。

②給与所得控除の最低保証額4万円増額(減税)。

 更に令和8、9年のみ最低保証額を5万円増額します。この合計9万円増額の恩恵を受けるのは単純に計算すると年収220万円以下の方のみです。

上記より所得税の課税最低限は160万円から178万円になります(これをマスコミでは「年収の壁が178万円になった」と言っています)。

課税最低限は178万円になりますが、➀年収665万円超は控除の増額幅が4万円(令和6年比+14万円)のみで、➁年収200~665万円の方も令和10年以降は増額幅が4万円(同+14万円)になるため、国民民主党が当初言っていた手取りを増やす内容とは相当の乖離があります。

2.防衛特別所得税(仮称)の創設

令和9年以降、各年の所得税額に1%の防衛特別所得税が課されます。

一方、復興特別所得税の税率が1%下がり1.1%になります(但し、課税期間が10年延びて令和29年までになります)。

【消費税】

  1. 免税事業者等からの仕入れの経過措置

インボイス未取得の事業者から課税仕入れを行った場合の控除可能割合が次のようになりました。

①   令和 8年10月1日から令和10年9月30日まで 70%

②   令和10年10月1日から令和12年9月30日まで 50%

③   令和12年10月1日から令和13年9月30日まで 30%

④   令和13年10月1日以降             0%

現状は控除可能割合が80%で、令和8年10月1日~令和11年9月30日は50%控除、それ以降は0%でしたので、今回の改正でより緩やかな引き下げとなりました。

【相続税】

  1. 貸付用不動産・不動産小口化商品の評価方法見直し

 これまでは原則として『財産評価基本通達』に基づき評価が行われてきました。画一的・効率的な方法として利用されていましたが、実際の市場価格との乖離が問題ともなっていました。(この乖離を利用している有名なものは、タワマン節税と呼ばれるものです。)近年、国税当局は、『総則6項』と呼ばれる伝家の宝刀を適用し、裁判などで争われてきました。

 令和4年の最高裁判決等を契機として分譲マンション等の区分所有不動産の評価の改正は図られましたが、今回は一棟所有の賃貸用マンションをはじめとする貸付用不動産を利用するスキームに対するものです。

 また、不動産小口化商品を利用した節税対策では、取得価額:3,000万円、通達評価額:480万円、乖離率マイナス84%、贈与税額を大幅に圧縮後、受贈者(贈与時:9歳)は取得価額とほぼ同額で現金化という事例が公表されています。

国からのメッセージは『税制への信頼感を著しく棄損する租税回避への対応で厳格に対応する』ということのようです。

その流れの関係で、令和9年1月1日以降に相続等により取得するものから、以下が適用されます。

①貸付用不動産

対象:相続・贈与前5年以内に新築もしくは購入した一定の貸付用不動産

評価方法:取得価額をもとに評価(相場変動を加味し、取得価額の80%程度になる予定)ただし、相続・贈与前5年以上所有している土地に新築した家屋には適用しない。

②不動産小口化商品

対象:商品として小口化された一定の貸付用不動産

評価方法:取得時期にかかわらず相続・贈与時における通常の取引金額(所有期間5年超とか関係なし。)

①を利用して相続税対策を考えていたかた、再度対策の練り直しが必要です。