【法人税】
資本金1億円以下の中小法人関係の改正を記載しています。
- 所得拡大促進税制
給与が前年より増加した場合に、給与増加額に対して15%~40%(以下、控除率といいます)の税金が控除できる規定です。
(改正点)
・その控除額は「その年の法人税額の20%」が限度ですが、その限度を超えた部分は5年間繰越できることになりました。
・教育訓練費の増加割合が5%以上の場合等に控除率が10%上乗せされます。
・子育て支援や女性活用推進の認定を受けた企業は控除率が5%上乗せされます。
※控除限度額を超えた部分が5年間繰り越せるのは良いと思います。ただ、経営者の感覚で行くと、給与を一度上げると下げるのは難しいため、「上げた年度だけではなく、その後も控除できる」仕組みにしないと、「この税制があるから賃上げする」というマインドにはならないと思います。
2. 中小企業M&A税制の改正
株式譲渡によってM&Aをした場合に一定割合を損金算入できる制度です。
(改正点)
・取得価額が1億円以上100億円以下に改正されます。
・損金算入割合は最初の取得で90%、その後は100%可能になります。
※一定期間(改正後は10年)経過後は、5年間で逆に益金算入するのは 変わりません。この益金算入が要件であること、適用のためには引き続き法務、財務DD等が必要で手続きが煩雑なのでなかなか適用しにくい制度であることには変わりがありません。
3. 交際費
現状は一人当たり5,000円以下の交際費は全額経費にできますが、この金額が10,000円に上がります。
4. 外形標準課税の適用対象法人の見直し
外形標準課税の適用対象法人が資本金を1億円以下に減資した場合でも資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超える場合は外形標準課税の対象となります。
【所得税】
- 経理(給料計算担当者)を苦しめる今回限りの定額減税【減税?】
所得税の合計所得が1,805万円(給与所得のみの場合には年収2,000万円)以下である納税者とその扶養親族の人数に応じ、所得税は1人3万円、住民税は1人1万円の計4万円を減税するという定額の所得税額の特別控除です。
①給料所得の場合
6月支給の給料の源泉預かりで調整(引ききれない場合は7月以降も引く)
②年金所得の場合
①に準じる扱い
③事業所得の場合
イ 第1期予定納税から控除してしきれない場合第2期からも引く
ロ それ以外令和6年分の確定申告で計算
読めばよむほど、来年5月末から6月中旬にかけて各社の給与計算担当者は年末調整並に忙しくなるのでは・・・という不安しかありません。家計のために一刻も早くという要望に応えたのかもしれませんが、給料計算担当者の方々は年末調整で処理させてほしかったはずです・・・。
2. 扶養控除(高校生年代16~18歳)の子供の扶養控除の縮小【増税】
所得税 現行38万円→改正25万円
地方税 現行33万円→改正12万円
3. ひとり親の所得要件の緩和【減税】
現行 合計所得金額500万円以下→改正1,000万円以下
4. 夫婦のどちらかが40歳未満の場合又は19歳未満の扶養親族がいる場合で、令和6年中に住宅を購入した場合には最大5,000万円の借入まで住宅ローン控除を受けることが出来ます。
5. 中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済の掛金については、契約の解除があった後2年間は再び共済掛金を支払ったとしても所得税は必要経費にできません。
[なお法人税についても同様に損金算入できなくなります。]
【消費税】
課税事業者が金又は白金を200万円(税抜)以上購入した場合には、3年間は免税事業者に変更することが出来なくなりました(簡易課税制度への変更も同様に制限されます)。
この改正は令和6年4月1日以後に適用されます。
【資産税】
事業承継税制の特例納税猶予制度について、承継計画の提出期限が2年延長になり2026年3月31日までになりました。
ただし、事業承継税制の適用期間は従来通り2027年12月31日までです。